事業革新を志すメンバーの募集や紹介をする「共創メンバー」コーナー。まずは、事業革新メンバーの紹介から、事業革新 代表・執行役員大高卓也のインタビューを前後半でお届けします。後半は、聞き手(小林)が入居していた「コワーキングスペースCoWork」の運営を開始する経緯について聞きました。Web制作・マーケティング会社がコワーキングスペース事業を取り組もうと思った理由とは―。
聞き手/構成:MEDIA「事業革新」 編集長 小林麻理
家で1人、感じる「社会から取り残された感」
ー私が最初に大高さんにあったのは、会員制のコワーキングスペース「CoWork」の運営者としてでした。Web制作・マーケティングをメインにしていたCATTAILがコワーキングスペース事業を立ち上げた経緯を教えてください。
起業してすぐはWeb制作の受注などをメインに家で仕事をしていました。案件を複数の会社からいただくことができ、事業は続けていけそうだという状況でした。
ただ、家に1人でこもって黙々と仕事をしているため、「1日中、誰ともしゃべらなかった」という日も多くなってきました。そうすると、「自分が社会から取り残されている」と感じるようになってしまったんです。
それで、以前から自身も利用してみたいと考えていた「コワーキングスペース」を自分で運営してみようと思い立ったのです。
「コワーキングスペースって何?」物件を借りるのに苦心
―いまは、郊外のコワーキングスペースも、コロナ禍でテレワークになった従業員の孤独感や仕事場の確保の解決策として注目されていますが、2018年頃は、都内を中心に増え始めてきたという頃ですね。
はい、そのため特に郊外の不動産オーナーさんには「コワーキングスペース」の認知度はかなり低かったです。それで、「コワーキングスペースって何?又貸しするんなら、うちはお断り」と門前払いされることが続いてしまったんです。
※ここでいう又貸しは、物件を借りて、家主として他人に貸し出して家賃を頂く行為を指します
自分はコワーキングスペースを運営するなら、IT業界・Web業界の経験から時間を気にせず仕事に没頭できるよう 「24時間365日使えるようにしたい」と決めていたのですが、それも不用心だと警戒されてしまったということもあります。
そこで、まずコワーキングスペースを「ビジネス版マンガ喫茶です」と説明することにしました。マンガ喫茶なら24時間やっていますし、それをビジネス専用に提供するといったらわかりやすいと思ったのです。
加えて「うちは完全会員制で、素性の怪しい人には使わせません」ということで、安心感をもってもらい、やっと借りれる物件が見つけられたのです。
3か月入居者がゼロ、チラシをまくも効果なし
―船橋はマンガ喫茶も多いですから、たしかにイメージが掴みやすいかもしれません。良い物件が借りられて良かったですね。
ただ、最初の3か月くらいは、入居したいというお問合せもなく、結局コワーキングスペースでも1人という状態だったのです。これはまずいと思って、周辺にチラシをまいたり色々しましたが、まったく効果がありませんでした。
そこで、本格的にWebによる集客に力を入れ始めました。CoWorkのウリのポイントを絞って、わかりやすくシンプルな表現に。あわせて、CoWorkの利用のポイントや利用者の役に立ちそうなこと、自分自身の開業体験談も記事にしてUPしました。 すると、Webを見たという方からだんだんと問い合わせが入るようになったんです。
―私も、Web記事が問い合わせを後押した面が大きいです。大高さんがCoWorkを始めた経緯や工夫をたくさんあげられていて「この運営者なら信頼できそう」と思っていたので、下見の日に会員利用を即決できたというのもあります。
たしかに自分の記事を読んでくれた、という利用者の方は多くいらっしゃいますね。
― Web記事は集客面で注目されることも多いですが、むしろ(相手の信頼性が重要になる)利用や購入の決断のときにこそ、効いてくるなと思います。
見た人に役に立つ、そして信頼される記事をあげることを意識しています。人気のあるキーワードをたくさんいれた記事をたくさんあげる従来型 の「SEO対策記事」は、検索上位に表示させる効果も薄くなっていますから。
―はい、この点は、私たちが情報発信によってブランドを築き、信頼を得る「事業革新プロジェクト」を立ち上げた大きな理由の1つでもありますね。
挑戦者の応援の輪を広げ、受け継ぐ
―さて、コワーキングスペースは、私と大高さんのように、利用者と運営者、利用者同士でつながりができるのが魅力ですよね。オンライン勉強会も開いていただきました。
はい、そうした「つながり」ができることは自分にとっても嬉しいことです。コワーキングスペース事業を始めて意外だったことは、テレワークをしたい会社員の方や起業を志す学生など、当初想定していたフリーランス以外の方の利用も多いことです。
先日は起業志望の学生と経営者をつなげたことで、具体的な案件に取り組めることになり、自分が目指す「挑戦者を応援する」ということもできたかなと感じました。
―大高さんは、会社としても「挑戦者を応援する」という理念を掲げていて、それが「事業革新プロジェクト」立ち上げのきっかけの1つにもなっています。どうしてこのような理念を掲げたのですか?
やはり大きいのは、自分自身が起業に挑戦したときに、(前半でお話した)山口さんに応援していただいたことが大きいです。独立した右も左も分からない僕に手を差し伸べていただきました。そのときに受けた恩を、自分も誰かにかえしたいという使命感みたいなものからきているように思います。
―なるほど。そんなふうに「挑戦者への応援」の輪がひろがり、受け継がれていくといいですね。「事業革新プロジェクト」も、その一助になるよう、取り組んでいきましょう。